ベンテス・ラガス – 鳥類学ステーションのある鳥の楽園
鳥類の渡り行動は、未だに完全には解明されていない最も神秘的な自然現象の一つです。毎年春と秋になると、何百万羽もの鳥たちが自分たちの生息地に移動したり、子孫を連れて戻ってきたりする鳥がリトアニア上空を通過します。
鳥はどこへ飛んでいくのでしょうか?鳥たちはどのやって越冬地にたどり着くのでしょうか?小さな鳥でも、どうして長距離を移動し、海や砂漠を横断できるのでしょうか?どうして同じ繁殖地に戻ってくることができるのでしょうか?長い旅から戻ってくる鳥は何羽くらいいるのでしょうか?移動ルートを変えることはあるのでしょうか?
住所:Marių g. 24, LT-99361 Ventė, Kintų paštas, Šilutės r.
デンマークの教師モーテンセン~標識調査の発明者
これらの疑問の大部分は、1899年にデンマークの教師ハンス・クリスチャン・モーテンセン(Hans Christian Mortensen)が足環標識調査を発明したことにより解明されてきました。標識調査は、鳥の移動を研究する古典的な方法です。その後、この方法は広く世界中に普及しました。1902年に米国とドイツに最初の鳥類標識調査センターが設立されました。
標識調査は、鳥類の越冬範囲、飛翔方向や速度、寿命、特定の鳥種の個体数の変化、個体群構造や条件に関するその他の重要な情報を見つけるのに役立ちます。毎年、鳥類600万羽以上に足環がつけられています(ヨーロッパでは約400万羽)。
クルシュー砂州に世界初の鳥類学ステーションが設置される
鳥類の移動の標識調査のために、世界で最初の鳥類学観測ステーションが1901年にクルシュー砂州のラシュテツ村(ニダから南へ約20キロ)に設立されました。リトアニアでは1929年にベンテス・ラガスで鳥類の定期調査が始まりました。
ベンテス・ラガスは、クルシュー海岸の東側にある小さな半島です。その長さは5.5km、幅は2.2kmでクルシュー海岸とクルシュー砂州は比較的新しく形成されたもので、リットリナ海時代(4,500年から5,000年前)に形成されました。
ベンテス・ラガスは非常に興味深い歴史を持っています。すでに1360年にはテュートン教団によってヴィンデブルク城と教会が半島の尖塔に建設されていました。教会は二度、嵐と雷で破壊され、ヴィンデブルク城はまた、波に襲われました。
地理的にも自然的にも理想的な場所
ベンテス・ラガスは地理的にも自然的にも鳥の観察に理想的な場所です。バルト海の東岸には鳥類の移動経路のうち最大のものの一つがあります。9月と10月には、1日に300万羽以上の鳥がクライペダの上空を飛ぶことがありますが、そのうち70~80%はクルシュー海岸に向かい、30%はベンテス・ラガスに向かってクルシュー海岸の東岸を通ります。そしてここで、海を渡る前に小休止します。長い距離を渡る前に、いったん避難、昇給しするのは、小さな渡り鳥の通常の行動です。このような場所には多くの鳥が集まるため、鳥の保護や観察には非常に重要であります。
灯台守が「発見」した場所
鳥類の観察に最適なベンテス・ラガスは最初は灯台守によって「発見」されました。鳥類学ステーションが設立された後は、毎年2~4千羽の鳥が観測されています。主にムクドリ、ロビン、アオジロ、クロジロ、オジロ、アカホシなどです。当初は、茂みに網を設置し、鳥を無理矢理捕獲していました時期もありました。
世界最大の捕獲機
1959年には、高さ12m、幅40mの定置式捕獲機が初めて設置されました。当時、年間約10,000~15,000羽の鳥が観測されていました。1978年には、ベンテス・ラガスには大型の捕獲器が設置されました。電動クレーンを使って、1-2分で25メートルの高さまで揚げることができます。1年後には、同じタイプの2台目の捕鳥器が設置されました。これらの捕獲機はどちらも世界最大のものです。しかし、風が強すぎると揚げることができず、使用することができません。
毎年5万~8万羽の鳥の調査を行う
1929年から2020年の間に、ラガス鳥類ステーションの職員は協力者と一緒に200万羽以上の鳥の観測を行っています。この間、最も多く観測されたのはムクドリ(417,171羽)、シジュウカラ(381,627羽)、ホオジロ(375,719羽)でした。合計で232種の鳥類に足環が装着されました。
現在、年間5万~8万羽の鳥に足環が装着されています。毎年、ヨーロッパ、アフリカ、アジアの様々な国から300~400羽の足環のついた鳥類がいたと報告されています。小鳥の移動についてより多くの知識を得るためには、これらの鳥をたくさん観測する必要があります。例えば、10,000羽のツバメを追跡しても、アフリカでの越冬範囲についての報告は2、3件しかありません。白コウノトリについてはもっと多くの報告があります。
ヴェンテツ・ラガス(Ventės Ragas)は世界で最も古い野鳥観察所の一つであり、多くの野鳥観察者が訪れる場所でもあります。